「対テロ活動、日本はもっと貢献できるはず」
在日8カ国大使が大合唱
―第1回安全保障シンポジウム『日本の国際安全保障活動』」で―

 

 

日本の安全保障を支える国際貢献について考える「第1回安全保障シンポジウム『日本の国際安全保障活動』」(NPO法人ネットジャーナリスト協会主催)が8カ国の大使、財界首脳、各メディアのコラムリストらが参加して、9日午後、東京千代田区の経団連会館で開かれた。安保問題をテーマに、このようなシンポジウムは珍しく、防衛、外務など各省幹部も聴衆として訪れ、各メディアも取材に駆けつけた。シンポの模様はインターネット(ChannelJ)による動画で生中継された。
このシンポジウムは、テロとの闘いとしてインド洋で展開している自衛隊による多国籍軍の艦船への給油活動は国会の与野党が昨年来対立を続けている。この問題を国際社会はどのように見ているか、駐日の米、英、仏、独、デンマーク、パキスタン、アフガニスタン、カナダの8カ国大使から話を聞き、さらに日本の財界からの視点を話してもらう場として民間団体が企画した。

 

 

インド洋での海上自衛隊の給油活動を各国感謝

 

 

アハマド・パキスタン臨時代理大使、クリストフ・プノ仏公使は「給油活動は大変に重要、多国籍軍が長時間活動が可能で日本に感謝している」と強調、全大使が日本の自衛隊の補給活動の技術を評価、給油活動に感謝の言葉を述べた。

 

 

「憲法の制約を克服して」、「国連安保理常任理事国入りの試金石」

 

 

シンポで各大使はアフガニスタンでの対テロ活動に的を絞って「日本の憲法での制約は知っている。しかし、『それを克服して』、『うまく処理して』」(ハンス=ヨアヒム・デア独大使、クリストフ・プノ仏公使)との、かなり踏み込んだ注文が出された。
また、日本の国連安保理常任理事国入りと絡めて「アフガンでの貢献が試金石」(デビッド・ウオレン英大使)「安保理常任理事国に入りたいならグローバルな形で行動、すべてに対応出来ないといけない」(フランツ・メルビン・デンマーク大使)とまで言及した。

 

 

「ジャパン・パッシングを避けるためにも」

 

 

J・トーマス・シーファー米大使は「日本では新オバマ政権になるとジャパン・パッシングが起きるのではないか、と心配する声があるが、そんなことは起こり得ない。だが、それを避けるためには、『私たちには、これと、これで手伝いができる』という提案が必要」と、具体的な事業を示した後、「(オバマ新政権の誕生は)日本はこういうことをしたい、と言える、よい機会だと思う。日本は、もっと、こんなことも出来るというリストを提出する事ができると思う。そうすれば、ジャパン・パッシングを心配する必要はない」と言い切った。

 

 

「学校再建、選挙実施時の支援、農作物の指導、ヘリコプターの派遣」など民の支援、続々提案

 

 

また、多くの大使が「軍隊の参加ができないなら」と、日本ができる、という貢献メニューを次々に提案したのも注目された。
シーファー大使は「憲法上の制約で自衛隊を送れないなら、民間人はどうでしょう」とした後、具体的に「学校も必要、(来年予定の大統領選挙での)選挙を実施するための支援」を挙げ、続けて「復興のために野菜など農作物栽培への支援」まで示した。さらに、経済的には麻薬が流通しているマーケットをどうするかなど」と列挙した。ウオレン大使は「英国はフランスとアフガンでの活動のためにヘリコプター基金を設立した。日本もヘリコプターの提供ができないか。選挙支援の活動にも参加できる。法務省の人権保護に関する協力もある。日本は貢献できることが沢山ある」と、具体的に貢献索を並べた。

 

 

海賊対策も急務と

 

 

ソマリア沖に出没する海賊対策も取り上げられ、各国によるNATO、国連決議の下での具体的な行動も示された。日本側からは草刈隆郎・日本郵船会長が、船主の立場から海賊被害の実情を資料を添えて説明、「日本の(自衛隊の護衛艦が出動する)給油活動がないと、日本の商船隊は無防備になる。現行法でも対応は可能。海上保安庁の代役として海上自衛隊の出動を早急にお願いしたい」と訴え、賛同を得ていた。

このシンポでは、外交評論家の岡本行夫さんによる基調講演があり、シンポジウムは田中明彦・東大教授がモデレーター役を引き受けた。

 

 

(事務局まとめ)

 

 

 

 

 

 

 

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